最近は、食生活の近代化からか、胸やけを訴えるGERDの患者さんが増えてきました。内視鏡でみると食道下部のただれができる逆流性食道炎の患者さんが増え、内視鏡検査を受ける人の15%にも達するという、欧米と変わらない報告もあります。この胃食道逆流現象の患者さんは、のどのつまり感とか痛み、ひどい場合には気管支喘息を起こすこともあります。
また、これらの症状は満腹時とか食後すぐ横になったりすると、起こりやすい特徴があります。ほとんどは胃酸を押さえるお薬で症状は治まります。
日本人の悪性新生物の死亡率で男性が2位、女性は3位を占める胃癌の診断には、最大限の注意を払い、胃X線検査および胃内視鏡検査を行ってまいりました。
胃癌には特有の症状はありませんが、心窩部痛が続くなど気になる症状があれば、早めに受診していただきたいと思います。胃癌でも早期であれば、現在では治癒する疾患となりました。症状があればぜひ早めに胃内視鏡検査を、症状がなくても胃がん検診または胃内視鏡検査を1年に一回は受けていただきたいと思います。
胃内視鏡検査時に胃十二指腸潰瘍が見つかった場合は、胃の粘膜から生検(生検鉗子という器具で内視鏡を通して病変を採取すること)を行い、その組織でヘリコバクター・ピロリの培養を依頼しております。陽性なら潰瘍の原因と考えられるので、除菌を行います。尿素呼気試験(尿素を服用し、呼気中の二酸化炭素の濃度を測る検査)でも、検査は可能です。胃炎、胃MALTリンパ腫、早期胃癌内視鏡的治療後でもヘリコバクタ・ピロリの検査を行い、陽性なら同様に除菌を行います。
みぞおちの痛み・もたれ感・吐き気などの症状が強い方でも、内視鏡検査で潰瘍など病変が見つからない機能性デスペプシアの患者さんと、腹部膨満感・下腹部痛・下痢・便秘などの症状の強い方で、内視鏡検査で癌・腸炎など病変が見つからない過敏性腸症候群の患者さんにも、最近は胃腸の動きをコントロールできる薬があり効果が上がっています。
生活の欧米化から、急増してきた炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の患者さんを数多く診療しています。この病気は、若い人に多く、腹痛・下痢・発熱・血便などの症状が続きます。厚労省の難病疾患に指定され、長年にわたる食事(脂肪分など)の制限が必要です。生命予後(寿命)は健常な方とほとんど変わりませんが、一時的に病状が悪くなることがあり、腸がつまったり、穴が開いたり、癌化すると手術が必要になることもあります。
大腸の粘膜がおかされ、そこに浅い潰瘍や、びらんが多発する原因不明の慢性疾患です。腹痛と共に、下痢になり、ゼリー状の粘液便や血便が混じるようになります。特に活動期には、食事療法(脂肪制限・食物繊維の少ない食事)が重要で5-ASA製剤・副賢皮質ステロイド・免疫抑制剤などの薬物療法を根気よく続けて、病気の活動性をコントロールする必要があります。また難治例には、血球成分除去療法、タクロリムス、抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤、シクロスポリンを使用することもあります。
主に口腔から肛門までの消化管全域に、非連続性の炎症および潰瘍を起こす疾患です。大多数は小腸や大腸、またはその両者に縦走潰瘍・敷石像などの病変を起こします。この病気も若い人に多い原因不明の慢性疾患なので、病気の活動性をコントロールし寛解状態を維持し、患者のQOLを高めることが重要です。
そのために、まず低脂肪食・低残渣食・充分なカロリーを原則とした食事療法や、5-ASA製剤・副賢皮質ステロイド・免疫抑制剤・抗ヒトTNPαモノクローナル抗体製剤・抗菌薬などの薬物療法と栄養療法を組み合わせて栄養状態を維持し、症状を抑え炎症の再燃・再発を予防いたします。また当院では、栄養療法として成分栄養剤による在宅経腸栄療療法も行っています。重症例では血球成分除去療法、絶食の上、完全静脈栄養療法を、さらに外科治療を要することもあります。
大腸疾患の中で、今最も問題になっているのは、大腸癌の症例が増加していることです。(20年前の2倍で、癌の死亡原因では男性は3位、女性は1位となっています。)
これもライフスタイル、食生活の欧米化の影響が指摘されています。症状は、血便・下痢・便秘・腹痛などで特有な症状はなく、検査が恥ずかしい、検査が痛いと聞いて、大腸内視鏡検査を嫌がられたために、診断が遅れることが問題と思っています。
わきや内科クリニックでは、検査をなるべく楽に、的確に行うことをモットーとしていますので、どうぞ安心してご来院ください。
胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査は予約が必要です。予約は随時承っております。まずはお問い合わせください。電話番号: 086-421-5547086-421-5547検査は午前が8:30-9:00に、午後は12:30-14:00の間に行っています。ただし、大腸内視鏡検査は木曜日と土曜日は行っていません。
胃内視鏡だけの場合6,000円で大腸内視鏡検査は8,000円。生検を1か所で11,000円(胃)、13,000円(大腸)、3か所で20,000円の追加になります。※ 保険の改正により変わる場合があります。
胃内視鏡は、当日の朝食はお控えください。大腸内視鏡は前日に残渣の少ない特別食または検査食を一日食べていただき、寝る前に多めの下剤を飲んでいただきます。当日は来院後腸管洗浄液を2リットル飲んでいただきます。腸の中が空っぽになったのを見極めて、昼過ぎから検査を行います。
内視鏡検査の予約の際、服用中の薬をお持ちください。検査の前に休薬していただくことがあります。(例:アスピリン・パナルジン・ワーファリンなど血液を固まりにくくする薬。)
自動洗浄消毒機クリーントップ(カイゲンファーマー)を使用し、消化器内視鏡学会の認定した方法で、内視鏡の洗浄と消毒を行っています。検査の際使用する生検鉗子やマウスピースは、超音波洗浄機(オリンパスK-2)で洗浄しています。さらに内視鏡収納庫には、殺菌灯を装備しています。